委員会視察で、こども・若者ケアラー支援の取り組みを伺いました

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教育厚生委員会の視察が4月22日から24日の日程でありました。初日に訪問した神戸市の「こども・若者ケアラー」への支援について報告します。今では、若い世代のケアラーにヘルパーを派遣する事業が全国的に広がっていますが、最初に実施したのが神戸市です。

神戸市では、2019年に20歳の若者ケアラーが認知症の祖母を殺害する事件が起き、裁判の中で、この孫が今でいう「ヤングケアラー」として苦しんできたことや家族の中で孫1人に介護を押し付けてきたことなど背景が浮き彫りになるなか、翌年10月の判決では実刑ではなく執行猶予がつきました。この事件を受け、市長から「ケアラー支援が必要ではないか」とトップダウンで福祉部局に指示があり、検討が始まっていったといいます。

検討の結果、2021年度から相談・支援窓口の設置、身近な方々への理解促進、当事者の交流と情報交換の場の設置、10代だけなく20代の若者への支援も行う必要があるため名称を「こども・若者ケアラー」としたいいます。

18歳までのヤングケアラーは、国の調査によると小学生で15人に1人、中学生で17人に1人いるとされています。20代も同様に同じ割合と仮定すると神戸市では若い世代のケアラーは1万人はいることになるが、相談窓口設置してからの相談件数は190件、対応中のものは約90件で、訪問支援の実績も11件と「当事者が自分が支援の対象と気づいていない、行政からの支援を拒否する保護者がいるなどの問題もあるが、支援を届けきれていないことが課題」とのことでした。

周囲に理解してくれる人がいるかどうか

これまでの取り組みをとおしてわかってきたこととして、周囲の理解の大事さを挙げられたことが印象的でした。当事者の声として「周りにサポートしてくれる人、理解してくれる人がいたからやってこれた」、「しんどさをわかってくれる大人がいないのがとても辛かった」、「学校の先生が『ちゃんと休めてるか』と声をかけてくれたとき嬉しかった」などを紹介されていました。

今回の視察を通して、相談窓口や訪問支援にとどまらず、教員や保健師、ケースワーカーといった当事者と関わる側がいかにケアラー支援の視点を持てるかが大事だと感じました。

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